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連載 [連続小説]コロナのない保健所の日記・1【新連載】
どこから行っても遠い保健所
著者: 関なおみ
所属機関:
ページ範囲:P.364 - P.374
文献購入ページに移動通勤途中にある新宿区立西戸山公園の桜は、年に一度の晴れ姿を見せようとほころび始めていたが、東京都健康安全研究センター(1)の職員はそれに気付く余裕もなく、朝から皆そわそわしていて、仕事が手に付かない者もいた。多分今日が異動人事の内示の日(2)だとうわさされていたからである。この職場に着任して一年目の真歩は、異動なんて他人事だと高をくくり、自席のパソコンで二つのモニターを駆使しながら、感染症週報のデータチェックをしつつ、ウェブ会議の準備をしていた。
「橘先生、部長が呼んでます。」
田原さんが、真歩を呼びに来た。
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