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特集 これからの結核対策—ポストCOVID-19における結核低まん延下の結核対策を考える
Editorial—今月号の特集について フリーアクセス
著者: 大角晃弘1
所属機関: 1公益財団法人結核予防会結核研究所 臨床・疫学部
ページ範囲:P.381 - P.381
日本は、全国の結核患者登録情報収集を開始して以降、初めて2021年に人口10万対の年間結核登録患者数が10未満(9.2人)となり、結核低まん延国に仲間入りしました。近年の年間結核登録患者数(人口10万対)は、2019年は11.5人、2020年は10.1人、そして2021年の9.2人、と急激な減少傾向が続いています。これには、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の流行による有症状患者の受診控えや、接触者健診実施が困難となったことによる患者発見数の減少の影響が少なからずあったことが推定されていますが、2022年の結核登録患者数は増加に転じていることはないようです(本稿執筆中の2023年3月現在)。
わが国の結核患者は、結核医療の提供のみならず、社会福祉を含めたさまざまな側面での支援が必要な高齢者・社会経済的困難層・外国生まれの人々等の割合が増加しており、今後もその傾向が続くと考えられます。そのため、結核登録患者数のリバウンドが起こらないように減少傾向を継続させ、また減少速度を加速させるためには、種々の方策を包括的に実施しなければなりません。
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