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連載 [連続小説]コロナのない保健所の日記・2
健康推進課長が結核でした
著者: 関なおみ
所属機関:
ページ範囲:P.484 - P.492
文献購入ページに移動六時にセットした目覚まし時計が鳴る五分前に目が覚めた真歩は、息子も夫も起こさないよう、そっと布団を抜け出した。草色のカーテンを引いて窓から外を眺めると、柔らかい日差しに照らされた木々がそよいでいて、雨は降りそうにない様子だった。スーツに着替え、かばんを持って階段を降り、洗面所で顔を洗う。よかった、目の下にクマはできていないし、ボブカットの毛先に寝癖も付いていない。電気ポットでお湯を沸かしながら食パンを焼き、バターを塗る。ヨーグルトに冷凍のカットフルーツを入れる。紅茶は今月封を開けたばかりのラズベリーフレーバーを選んだ。全て食べ終わって歯を磨き、かかとの低い紺色のパンプスを履いて玄関のドアを開けると、モンシロチョウがひらひらと目の前を横切って行った。
本郷三丁目の交差点を曲がり、早足で春日通りを下り、天神下の交差点を曲がって、湯島駅に到着した。七時台の千代田線はさほど混雑しておらず、余裕で座ることができた。谷町駅前にはモーニングセットがあるマダム・ドーナツ、M'sバーガーショップ、そしてDhole Coffee(ドール・コーヒー)もあり、そのうち面倒くさくなって家では作らなくなるであろう朝食の選択肢には事欠かなそうで安心した。区内のコンビニエンスストアはなぜかMストップばかりで、Fマートばかりの某区とは大違いである。
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