公衆衛生87巻7号

2023年07月発行

特集 災害時の保健・医療・福祉—連携と調整

災害精神保健・福祉・医療活動の中の災害精神関連チームの活動と今後の展望

著者： 高橋晶¹²³

所属機関： ¹筑波大学医学医療系災害・地域精神医学 ²茨城県立こころの医療センター ³筑波メディカルセンター病院精神科

ページ範囲：P.641 - P.649

ポイント
◆災害精神保健医療福祉体制の整備は、平時からの見える関係性・信頼感のある関係性をつくることから始まる。
◆災害後は被災地住民、要支援者のメンタルヘルスが悪化して復興が遅れることは明確であり、災害初期からの戦略的な災害精神対応や要支援者支援を強力に推進する必要がある。
◆医療従事者、行政職員、教育関係者は、災害精神保健医療福祉体制や平時から災害時までの地域精神を幅広く支えるキーパーソンになり得るため、人材育成教育の充実が必要である。

参考文献

1）高橋晶，他（編）：災害精神医学とは．災害精神医学入門—災害に学び，明日に備える．11-28頁，金剛出版，2015

2）Takahashi S, et al: Acute Mental Health Needs Duration during Major Disasters: A Phenomenological Experience of Disaster Psychiatric Assistance Teams（DPATs）in Japan. Int J Environ Res Public Health 17: 1530, 2020

3）ビヴァリー・ラファエル著（石丸正（訳））：災害の襲うとき—カタストロフィの精神医学（原題：WHEN DISASTER STRIKES）．18-22頁，みすず書房，1989

4）加藤　寛：日本における災害精神医学の進展—阪神・淡路大震災後の10年間をふり返って．精神医学 48: 231-239, 2006

5）木下裕久，他：日本における最近の災害精神医学研究．九州神経精神医学 61: 3-8, 2015

6）厚生労働省：DHEAT活動ハンドブック（本編）．平成30年度厚労科研補助金事業，平成31年3月　https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000998894.pdf（2023年3月1日閲覧）

7）厚生労働省：DHEAT活動ハンドブック（資料編）．平成30年度厚労科研補助金事業，平成31年3月　https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000998898.pdf（2023年3月1日閲覧）

8）厚生労働省：自治体の災害時精神保健医療福祉活動マニュアル（ロングバージョン）．厚生労働科学研究費補助金（障害者政策総合研究事業） 災害派遣精神医療チーム（DPAT）と地域精神保健システムの連携手法に関する研究（研究代表者 太刀川弘和）．令和3年3月　https://www.mhlw.go.jp/content/000772550.pdf（2023年3月1日閲覧）

9）厚生労働省委託事業DPAT事務局：DPATマニュアル，ver. 3.0．令和4年4月14日　https://www.dpat.jp/images/dpat_documents/3_220415.pdf（2023年3月1日閲覧）

10）厚生労働省委託事業DPAT事務局：ホームページ.　https://www.dpat.jp/（2023年3月1日閲覧）

11）Takahashi S, et al: Acute Mental Health Needs Duration during Major Disasters: A Phenomenological Experience of Disaster Psychiatric Assistance Teams（DPATs）in Japan. Int J Environ Res Public Health 17: 1530, 2020

12）Y Neria, et al: Post-traumatic stress disorder following disasters: a systematic review. Psychol Med 38: 467-480, 2008

13）高橋　晶：第9章「災害支援者に対するフォローアップ」．高橋　晶（編・著）：災害支援者支援．111-124頁，日本評論社，2018