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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生87巻7号

2023年07月発行

文献概要

連載 保健行政のためのデータサイエンス・5

地域における循環器疾患予防対策とその評価としてのヘルスサービスリサーチ

著者: 山岸良匡123 磯博康4

所属機関: 1筑波大学医学医療系社会健康医学 2筑波大学ヘルスサービス開発研究センター 3茨城県西部メディカルセンター 4国立国際医療研究センターグローバルヘルス政策研究センター

ページ範囲:P.697 - P.701

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はじめに
 循環器疾患予防の基本は、まず健診を受診し、個人のリスクファクターの程度を把握し、ハイリスク者の早期発見・早期対策、すなわち医療の必要な人を確実に医療につなげるとともに、集団全体のリスクファクターのレベルや分布を把握し、その集団の特性に応じた予防対策を立案し実行する点にある。そのモデルとなる対策を行ってきた地域として、茨城県真壁郡協和町の対策がある。協和町では、筑波大学との協働により、1981年より脳卒中半減対策事業を展開してきた。予防対策の中核としての健診事業(2次予防)を基盤とし、さらに1次予防として、この地域において当時特に問題となっていた食塩過剰摂取に焦点を置き、行政や住民組織、医師会などの既存の組織とともに地域ぐるみで対策を展開したことが特徴である。対策開始から40年が経過し、協和町が合併して筑西市となった現在も、市と大学との協力体制は続いている。本稿では協和町の対策を例として、ヘルスサービスリサーチの観点から、その評価のポイントについて解説する。

参考文献

1)協和町:脳卒中半減対策のあゆみ. http://www.md.tsukuba.ac.jp/community-med/publicmd/public_health_medicine/kyowa.html(2023年4月6日閲覧)
2)横田紀美子,他:地域ぐるみの減塩教育キャンペーンの実際とその評価 筑西市協和地区・脳卒中半減対策事業 メディアによる健康教育活動.日本公衛誌 53:543-553, 2006
3)山岸良匡,他:循環器疾患予防対策—「減塩」を中心とした脳卒中半減対策事業の成果から.保健師ジャーナル 68: 486-489, 2012
4)健康・体力づくり事業財団:健康長寿社会を創る:解説 健康日本21(第二次)初版.123-127頁,健康・体力づくり事業財団,2015
5)磯博康,他:地域ぐるみの減塩教育キャンペーンと24時間尿中ナトリウム,カリウム排泄量の推移.日本公衛誌 46: 894-903, 1999
6)佐田みずき,他:茨城県筑西市協和地区における循環器疾患リスクファクターの35年間の推移.第54回日本循環器病予防学会学術集会,2018
7)Yamagishi K, et al: Trends in stroke, cardiovascular disease, and medical expenditure under a community-based long-term stroke prevention program. J Hypertens 41: 429-436, 2023
8)Iso H, et al: Effects of a long-term hypertension control program on stroke incidence and prevalence in a rural community in northeastern Japan. Stroke 29: 1510-1518, 1998
9)Yamagishi K, et al: Cost-effectiveness and budget impact analyses of a long-term hypertension detection and control program for stroke prevention. J Hypertens 30: 1874-1879, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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