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連載 保健行政のためのデータサイエンス・5
地域における循環器疾患予防対策とその評価としてのヘルスサービスリサーチ
著者: 山岸良匡123 磯博康4
所属機関: 1筑波大学医学医療系社会健康医学 2筑波大学ヘルスサービス開発研究センター 3茨城県西部メディカルセンター 4国立国際医療研究センターグローバルヘルス政策研究センター
ページ範囲:P.697 - P.701
文献購入ページに移動循環器疾患予防の基本は、まず健診を受診し、個人のリスクファクターの程度を把握し、ハイリスク者の早期発見・早期対策、すなわち医療の必要な人を確実に医療につなげるとともに、集団全体のリスクファクターのレベルや分布を把握し、その集団の特性に応じた予防対策を立案し実行する点にある。そのモデルとなる対策を行ってきた地域として、茨城県真壁郡協和町の対策がある。協和町では、筑波大学との協働により、1981年より脳卒中半減対策事業を展開してきた。予防対策の中核としての健診事業(2次予防)を基盤とし、さらに1次予防として、この地域において当時特に問題となっていた食塩過剰摂取に焦点を置き、行政や住民組織、医師会などの既存の組織とともに地域ぐるみで対策を展開したことが特徴である。対策開始から40年が経過し、協和町が合併して筑西市となった現在も、市と大学との協力体制は続いている。本稿では協和町の対策を例として、ヘルスサービスリサーチの観点から、その評価のポイントについて解説する。
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