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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生87巻8号

2023年08月発行

文献概要

連載 衛生行政キーワード・149

人生100年時代における治療と仕事の両立

著者: 伊藤遼太郎12

所属機関: 1株式会社クボタ 2(前)厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課

ページ範囲:P.805 - P.808

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はじめに
 わが国の労働安全衛生行政は、職場における労働者の安全と健康を確保するべく、1972年に労働安全衛生法を施行して、累次にわたる法改正や関連指針の策定等が行われてきた。職場の労働安全衛生の課題は、結核等の感染症、技術革新に伴う労働災害や職業病等といった健康障害の対応から、社会の変化に応じて、健康障害の予防や早期発見の観点を含み、健康保持増進対策へと拡大してきた。近年は、労働安全衛生法が制定された当時には想定されていなかった、働き方改革への対応、メンタルヘルス対策、女性の就業率の増加に伴う健康課題、テレワークの拡大による課題、化学物質の自律管理等、多様な産業保健上の課題への対応が求められている。
 特に、深刻な少子高齢化による生産年齢人口の減少が喫緊の社会的課題となっている中で、定年延長等の背景から労働者の高齢化が進行の一途をたどっており、全労働者に占める65歳以上の割合は毎年増加している1)。これに伴って、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の有所見率も増加しており2)、医療面でもさまざまな疾患の治療法の開発や生存率の向上等の技術進歩が著しいことから、今後は企業において、疾病を抱えながら働き続けたいと希望する労働者が、治療と仕事を両立できるような支援が必要になる場面がさらに増していくと考えられる。

参考文献

1)内閣府:令和4年版高齢社会白書 年齢階級別就業率の推移. https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/s1_2_1.html(2023年5月31日閲覧)
2)厚生労働省:令和3年定期健康診断実施結果報告(年次別).2022年 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450211&tstat=000001018638&cycle=7&year=20210&month=0&result_back=1&tclass1val=0(2023年5月31日閲覧)
3)厚生労働省:事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン.2023年3月 https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001088186.pdf(2023年5月31日閲覧)
4)首相官邸:働き方改革実行計画.平成29年3月28日 https://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/20170328/01.pdf(2023年5月31日閲覧)
5)厚生労働省:治療と仕事の両立支援ナビ. https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/(2023年5月31日閲覧)
6)(独)労働者健康安全機構:労災疾病等医学研究普及サイト 両立支援コーディネーター基礎研修 受講者数.2023年3月31日 https://www.research.johas.go.jp/ryoritsucoo/jyukosha.html(2023年5月31日閲覧)
7)厚生労働省:がん対策推進基本計画(第4期).令和5年3月 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001077564.pdf(2023年5月31日閲覧)
8)厚生労働省医政局地域医療計画課長:疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について.令和5年5月26日一部改正,令和5年3月31日 https://www.mhlw.go.jp/content/001103126.pdf(2023年5月31日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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