文献詳細
連載 All about 日本のワクチン・24
狂犬病ワクチン
著者: 石金正裕123
所属機関: 1国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター 2WHO協力センター 3AMR臨床リファレンスセンター
ページ範囲:P.1245 - P.1247
文献概要
狂犬病は、狂犬病ウイルスによる感染症で、全世界100カ国以上で報告され、毎年、数千万人が狂犬病に感染し、数万人が死亡していると推定されている1)。旅行者が狂犬病に感染する割合は、旅行者10万人当たり16〜200人と推定されている1)。多くは、アジアやアフリカで発生している。日本では狂犬病は土着しておらず、1957年以降、病輸入症例として1970年に1例(ネパールで感染)、2006年に2例(2例ともフィリピンで感染)、2020年に1例(フィリピンで感染)が報告されている2)。地域ごとのリスクは世界保健機関(World Health Organization: WHO)や米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)のウェブサイトから確認できる1)3)。多くは地方で発生しており、特に小児で感染リスクが高い。主な感染経路はイヌであるが、先進国においては、キツネ、アライグマ、コウモリなどの野生動物も感染経路となる。有効な治療薬はなく、死亡率はほぼ100%であるため、ワクチン接種による予防が極めて重要である。
参考文献
掲載誌情報