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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生88巻12号

2024年12月発行

連載 All about 日本のワクチン・24

狂犬病ワクチン

著者: 石金正裕123

所属機関: 1国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター 2WHO協力センター 3AMR臨床リファレンスセンター

ページ範囲:P.1245 - P.1247

文献概要

1.当該疾患の発生動向
 狂犬病は、狂犬病ウイルスによる感染症で、全世界100カ国以上で報告され、毎年、数千万人が狂犬病に感染し、数万人が死亡していると推定されている1)。旅行者が狂犬病に感染する割合は、旅行者10万人当たり16〜200人と推定されている1)。多くは、アジアやアフリカで発生している。日本では狂犬病は土着しておらず、1957年以降、病輸入症例として1970年に1例(ネパールで感染)、2006年に2例(2例ともフィリピンで感染)、2020年に1例(フィリピンで感染)が報告されている2)。地域ごとのリスクは世界保健機関(World Health Organization: WHO)や米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)のウェブサイトから確認できる1)3)。多くは地方で発生しており、特に小児で感染リスクが高い。主な感染経路はイヌであるが、先進国においては、キツネ、アライグマ、コウモリなどの野生動物も感染経路となる。有効な治療薬はなく、死亡率はほぼ100%であるため、ワクチン接種による予防が極めて重要である。

参考文献

1)Wallace R, et al: Rabies. CDC Health Information for International Travel 2024: the yellow book. https://wwwnc.cdc.gov/travel/yellowbook/2024/infections-diseases/rabies(2024年9月5日閲覧)
2)野崎康伸,他:日本国内で2020年に発生した狂犬病患者の報告.IASR 42: 81-82 https://www.niid.go.jp/niid/ja/rabies-m/rabies-iasrd/10301-494d01.html(2024年9月5日閲覧)
3)WHO: Rabies. https://www.who.int/data/gho/data/themes/topics/rabies(2024年9月5日閲覧)
4)WHO: Rabies vaccines: WHO position paper-April 2018. https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/272371/WER9316.pdf?ua=1(2024年9月5日閲覧)
5)医薬品医療機器総合機構:ラビピュール(添付文書). https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/340278_6313400E1025_1_03(2024年9月5日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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