文献詳細
連載 ヒトとモノからみる公衆衛生史・10
文献概要
はじめに
「ヒトとモノからみる公衆衛生史」のリレー連載は、ここまでマスク、サーベイランス史、歯科衛生など多角的なアプローチで、公衆衛生の多様で奥深い歴史が紹介されてきた。
今回から3回にわたり、現代までの入浴と銭湯(公衆浴場)の日本の歴史を中心に振り返る。現代の私たちにとって毎日入浴することは当たり前になっている。毎日入浴しないと言葉では説明できない気持ちの悪さや汚れている感じを覚える人も多いだろう。戦後まで都市部で入浴する場の多くは銭湯であった。こうした銭湯は現代では保健衛生や癒やしのための施設であり、また、多くの人の目には昔ながらの日本文化として映っているのではないだろうか。銭湯の歴史と入浴しないとすまない、清潔にしなければならないといった意識の歴史は結び付いている。入浴と銭湯の歴史を追いながら、私たちの感覚に深く根付いている清潔規範の変遷をひもといていきたい。
初回は、前近代からの銭湯の歴史と、日本人が風呂を好むということがいつごろからいわれるようになったのか、その歴史の一部を読者の皆さんと共に追っていくこととしたい。
「ヒトとモノからみる公衆衛生史」のリレー連載は、ここまでマスク、サーベイランス史、歯科衛生など多角的なアプローチで、公衆衛生の多様で奥深い歴史が紹介されてきた。
今回から3回にわたり、現代までの入浴と銭湯(公衆浴場)の日本の歴史を中心に振り返る。現代の私たちにとって毎日入浴することは当たり前になっている。毎日入浴しないと言葉では説明できない気持ちの悪さや汚れている感じを覚える人も多いだろう。戦後まで都市部で入浴する場の多くは銭湯であった。こうした銭湯は現代では保健衛生や癒やしのための施設であり、また、多くの人の目には昔ながらの日本文化として映っているのではないだろうか。銭湯の歴史と入浴しないとすまない、清潔にしなければならないといった意識の歴史は結び付いている。入浴と銭湯の歴史を追いながら、私たちの感覚に深く根付いている清潔規範の変遷をひもといていきたい。
初回は、前近代からの銭湯の歴史と、日本人が風呂を好むということがいつごろからいわれるようになったのか、その歴史の一部を読者の皆さんと共に追っていくこととしたい。
参考文献
1)武田勝蔵:風呂と湯の話.塙書房,1967
2)山東京伝:賢愚湊銭湯新話.神保五彌(校注):浮世風呂 —— 戯場枠言幕の外大千世界楽屋探.岩波書店,1982
3)沐浴の沿革乃其衛生の必要.大日本私立衛生会雑誌 172: 716-717, 1897
4)亀井重麿:入浴装置の改良を望む.大日本私立衛生会雑誌 234: 759, 1902
5)余白録.大日本私立衛生会雑誌 402: 26, 1916
6)内山直三,他:理髪所又は浴場に於て病毒を傳染することあり之れを予防する簡便なる方法.大日本私立衛生会雑誌 184: 497-498, 1898
7)原田四郎,他:公衆浴水の衛生學的調査.国民衛生 1(11): 30-44, 1923
・川端美季:近代日本の公衆浴場運動.法政大学出版局,2016
・戸沢行夫:湯屋株と町共同体 —— 江戸の地域と商業.亜細亜大学経済学紀要 25(1): 71-96, 2000
・長谷川博:明治期の攻玉社 —— 亀井重麿を中心として.第9回日本土木史研究発表会論文集:79-88, 1989 https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalhs1981/9/0/9_0_79/_pdf(2024年1月17日閲覧)
・全国公衆浴場業環境衛生同業組合連合会:公衆浴場史.全国公衆浴場業環境衛生同業組合連合会,1972
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