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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生88巻4号

2024年04月発行

文献概要

特集 現代におけるメンタルヘルスの問題とその対応の課題—精神疾患の国際分類の改正を踏まえて

「性別不合」の精神疾患分類(国際疾病分類)における位置付けの変更と社会的包摂の課題

著者: 松永千秋1

所属機関: 1ちあきクリニック

ページ範囲:P.404 - P.411

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ポイント
◆WHOは国際疾病分類であるICD-11において従来の性同一性障害を性別不合に変更し、精神疾患の分類ではなく「性の健康に関連する状態群」に分類した。
◆人間の性別の在り方すなわちジェンダー・アイデンティティは、性別二元論を超えた多様な性別の在り方を含む概念である。
◆性別不合は多様なジェンダー・アイデンティティを社会が承認し、社会的包摂を推進する上で有用な概念であり、医療分野のみならず、さまざまな施策や立法措置などにおいて広く活用されるだろう。

参考文献

1)World Health Organization: ICD-11 for Mortality and Morbidity Statistics.(Version: 02/2023). https://icd.who.int/browse11/l-m/en(2024年2月13日閲覧)
2)松永千秋:ICD-11で新設された「性の健康に関連する状態群」—性機能不全・性疼痛における「非器質性・器質性」二元論の克服と多様な性の社会的包摂にむけて—.精神誌 124: 134-143, 2022
3)松永千秋:ジェンダーレスな働き方について:アイデンティティ選択の自由とジェンダー・アイデンティティ.精神科治療 37: 477-482, 2022
4)松永千秋:性同一性障害に対する精神療法の課題とその問題点.精神医 53: 763-768, 2011
5)松永千秋:トランスジェンダーの歴史.精神科治療 31: 991-996, 2016
6)マイケル・J. サンデル(著),菊池理夫(翻訳):リベラリズムと正義の限界.勁草書房,2009
7)ウィリアム・E. コノリー(著),杉田敦,他(翻訳)アイデンティティ差異 —— 他者性の政治.岩波書店,1998
8)チャールズ・テイラー(著),下川潔,他(翻訳):自我の源泉 —— 近代的アイデンティティの形成.名古屋大学出版会,2010
9)Walter O Bockting, et al(ed): Gender Dysphoria: Interdisciplinary Approaches in Clinical Management. Routledge, London, 1993
10)フランシス・フクヤマ(著),山田文(翻訳):IDENTITY(アイデンティティ)尊厳の欲求と憤りの政治.朝日新聞出版,2019
11)アンソニー・ギデンズ(著),秋吉美都,他(訳):モダニティと自己アイデンティティ 後期近代における自己と社会.筑摩書房,2021
12)中山秀紀:ゲーム障害.精神医 61: 271-276, 2019
13)W. キムリッカ(著),千葉眞,他(翻訳):現代政治理論.日本経済評論社,2005新版
14)齋藤純一:政治と複数性 —— 民主的な公共性にむけて.岩波書店,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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