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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生88巻4号

2024年04月発行

文献概要

連載 All about 日本のワクチン・16

BCGワクチン

著者: 徳永修1

所属機関: 1国立病院機構南京都病院小児科

ページ範囲:P.425 - P.428

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1.当該疾患の発生動向
 わが国は欧米先進国に比して高い結核罹患状況にあるが、2021年に初めて結核罹患率(人口10万人当たりの新登録結核患者数)が10を下回り、結核低まん延国の仲間入りを果たした。2022年も低まん延の水準を維持し、罹患率は8.2へと低下した1)。わが国の結核疫学状況の特徴として、高齢者症例の占める割合が多いことが挙げられ、2022年には65歳以上が約70%、80歳以上が約45%を占めた。また、欧米先進国と同様に外国出生患者の占める割合が増加しており、全年齢では新登録例の約12%を、20〜29歳では75%以上を外国出生者が占めた。小児(0〜14歳)における結核罹患状況は極めて低い状況で推移しており、2006年に初めて年間新登録患者数が100例を下回り、近年は50例前後で推移してきたが、2021年以降は30例前後へと減少している(当該年齢の結核罹患率0.2)(図1、表1)1)。少数例ではあるが、結核性髄膜炎や粟粒結核などの重症結核例の登録は続いている。

参考文献

1)公益財団法人結核予防会結核研究所:疫学情報センター年報2022. https://jata-ekigaku.jp/nenpou/(2024年1月25日閲覧)
2)戸井田一郎:BCGの歴史:過去の研究から何を学ぶべきか.呼吸器疾患 結核資料と展望 48: 15-40, 2004
3)Hawkridge A, et al: Efficacy of percutaneous versus intradermal BCG in the prevention of tuberculosis in South African infants: randomised trial. BMJ 337: a2052, 2008
4)日本ビーシージー製造株式会社:乾燥BCGワクチン(経皮用・1人用).2019年8月 https://www.bcg.gr.jp/medical/text_k_bcg.pdf(2024年1月25日閲覧)
5)Colditz GA, et al: Efficacy of BCG vaccine in the prevention of tuberculosis. Meta-analysis of the published literature. JAMA 271: 698-702, 1994
6)Colditz GA, et al: The efficacy of Bacillus Calmette-Guérin vaccination of newborns and infants in the prevention of tuberculosis: meta-analysis of the published literature. Pediatrics. 96: 29-35, 1995
7)Tokunaga O: Adverse reactions after vaccination with Bacille Calmette-Guérin. BCG 2nd edition, Japan Anti-Tuberculosis Association, pp 86-95, 2022
8)厚生労働省健康局長:結核に関する特定感染症予防指針の一部改正について.平成28年11月25日. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/thuuchi.pdf(2024年1月25日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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