文献詳細
連載 All about 日本のワクチン・17
文献概要
1.当該疾患の発生動向
日本においてはインフルエンザの発生動向は感染症法に基づいた全国約5,000の定点医療機関(3,000の小児診療科と2,000の成人診療科)からの週単位の年齢群別診断数、500の基幹医療機関からの入院例数、病原体定点医療機関からの臨床検体の提供、超過死亡の評価により、患者発生状況(地域での流行状況)、入院者数(重症度)、流行ウイルスの亜型と抗原性、そして死亡への影響が調査されている1)。そして予防接種法上、年に一度の感染症流行予測調査2)により国民の免疫レベルを評価している。
2020年からのCOVID-19パンデミックの影響により、2020/21、2021/22シーズンは流行が非常に小さく、国民のインフルエンザに対するHI抗体価保有率は過去の半分以下となり2)、この反動で2022/23の流行は当初はパンデミック対策の影響を受けて小さかったものの、地域での感染症対策の縮小と共に流行は2023年春から夏まで小さいながらも継続し、秋より急速に流行が広がり、2009年のインフルエンザA/H1N1pdm09のパンデミックと同様の流行曲線を描いている(図1)3)。人間界におけるインフルエンザウイルスはA型のH3N2亜型(A/H3N2)とH1N1亜型(A/H1N1pdm09)、B型のVictoria系統とB型のYamagata系統の4種が存在して流行を繰り返しているが、2022/23シーズンの流行株は当初A/H3N2が主流であったが、2023年冬季にかけてA/H1N1pdm09およびB/Victoria系統が増加しつつある。
日本においてはインフルエンザの発生動向は感染症法に基づいた全国約5,000の定点医療機関(3,000の小児診療科と2,000の成人診療科)からの週単位の年齢群別診断数、500の基幹医療機関からの入院例数、病原体定点医療機関からの臨床検体の提供、超過死亡の評価により、患者発生状況(地域での流行状況)、入院者数(重症度)、流行ウイルスの亜型と抗原性、そして死亡への影響が調査されている1)。そして予防接種法上、年に一度の感染症流行予測調査2)により国民の免疫レベルを評価している。
2020年からのCOVID-19パンデミックの影響により、2020/21、2021/22シーズンは流行が非常に小さく、国民のインフルエンザに対するHI抗体価保有率は過去の半分以下となり2)、この反動で2022/23の流行は当初はパンデミック対策の影響を受けて小さかったものの、地域での感染症対策の縮小と共に流行は2023年春から夏まで小さいながらも継続し、秋より急速に流行が広がり、2009年のインフルエンザA/H1N1pdm09のパンデミックと同様の流行曲線を描いている(図1)3)。人間界におけるインフルエンザウイルスはA型のH3N2亜型(A/H3N2)とH1N1亜型(A/H1N1pdm09)、B型のVictoria系統とB型のYamagata系統の4種が存在して流行を繰り返しているが、2022/23シーズンの流行株は当初A/H3N2が主流であったが、2023年冬季にかけてA/H1N1pdm09およびB/Victoria系統が増加しつつある。
参考文献
1)国立感染症研究所:インフルエンザ発生動向調査. https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/flu.html(2024年2月6日閲覧)
2)国立感染症研究所:感染症流行予測調査. https://www.niid.go.jp/niid/ja/yosoku-index.html(2024年2月6日閲覧)
3)三重県感染症情報センター:インフルエンザ. https://www.kenkou.pref.mie.jp/disease_influenza.html(2024年2月6日閲覧)
4)Bridges CB, et al: Inactivated influenza vaccines. In: Plotkin SA, et al(eds): Vaccines. 5th ed. pp259-290, Saunders Elsevier, Philadelphia, 2008
5)Monto AS, et al: Modification of an outbreak of influenza in Tecumseh, Michigan by vaccination of schoolchildren. J Infect Dis 122: 16-25, 1970
6)Janssens Y, et al: The role of cell-mediated immunity against influenza and its implications for vaccine evaluation. Front Immunol 13: 959379, 2022
7)鈴木英太郎,他:インフルエンザワクチンは2回接種を必要とするか.日小児科医会報 38: 163-168, 2009
8)廣田良夫:ワクチンの有効性・安全性評価とVPD(vaccine preventable diseases)対策への適用に関する分析疫学研究報告書.2017年3月 https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/26124(2024年2月6日閲覧)
9)USCDC: Preliminary Flu Vaccine Effectiveness(VE)Data for 2022-2023. https://www.cdc.gov/flu/vaccines-work/2022-2023.html(2024年2月6日閲覧)
10)厚生労働省:第94回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会,令和5年度第5回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料.2023年7月28日 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208910_00061.html(2024年2月6日閲覧)
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