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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生88巻6号

2024年06月発行

文献概要

特集 感染症法2類相当時代のCOVID-19対策レビュー—次のパンデミックに備えて

行政による行動制限要請の課題と展望—大阪府での事例を通して

著者: 田中英夫1 高橋佑紀23

所属機関: 1寝屋川市保健所 2大阪府 健康医療部 健康医療総務課 3国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース(FETP)

ページ範囲:P.554 - P.560

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ポイント
◆大阪府の感染ルート不明陽性者数の7日間移動平均値のトレンドをジョインポイント回帰分析により明らかにし、その特徴から行動制限要請の流行抑制効果を推測した。
◆国内での新興ウイルスの流行拡大が必至となれば、ワクチンが普及するまでの時間稼ぎとして、行政が県民、国民へ行動制限を要請するポピュレーションアプローチは、最も現実的な感染制御手段であると思われる。
◆行動制限要請を実施するタイミング、その効果と社会経済的負担とのバランスを的確に考慮・判断するためには、各県単位での罹患データの正確かつ迅速なモニタリング体制を平時に確立しておくことが重要となる。

参考文献

1)Tanaka H, et al: Trends in the incidence of symptomatic COVID-19 during the first endemic wave in the Japanese population. J Natl Inst Public Health 70: 315-322, 2021
2)高橋佑紀,他:新型コロナウイルス感染症にかかる緊急事態宣言等の発出・発出要請と感染経路不明新規陽性者数のトレンドとの時間的関係:大阪府における第3波・4波の分析.日公衛誌 70: 390-399, 2023
3)Ogata T, et al: Long Diagnostic Delay with Unknown Transmission Route Inversely Correlates with the Subsequent Doubling Time of Coronavirus Disease 2019 in Japan, February-March 2020. Int J Environ Res Public Health 18: 3377, 2021
4)Hualei X, et al: The incubation period distribution of coronavirus disease 2019: A systematic review and meta-analysis. Clinical Infectious Disease 73: 2344-2352, 2021
5)Tanaka H, et al: Increased Transmissibility of the SARS-CoV-2 Alpha Variant in a Japanese Population. Int J Environ Res Public Health 18: 7752, 2021
6)田中英夫,他:日本における無症候性陽性者および前発症期の陽性者との接触による新型コロナウイルス感染事例の分析.日公衛誌 68: 550-558, 2021
7)厚生労働省:第52回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会,資料「保健所の整備に係る予防計画の数値目標について」.令和5年4月10日 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001086097.pdf(2024年3月15日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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