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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生88巻7号

2024年07月発行

文献概要

連載 All about 日本のワクチン・19

水痘ワクチン

著者: 服部文彦1 吉川哲史2

所属機関: 1豊川市民病院小児科 2藤田医科大学医学部小児科学

ページ範囲:P.728 - P.731

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1.当該疾患の発生動向
 水痘は水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus: VZV)感染後2週間程度の潜伏期間を経て発症する小児のウイルス感染症で、接触、飛沫感染に加え空気感染する感染力の強い疾患である。ワクチンで予防可能な疾患で、2012年に日本小児科学会から水痘ワクチンの1-2歳で2回接種が推奨され、2014年10月1日から定期接種対象疾患(A類疾病)となった。
 水痘は5類感染症の定点報告疾患として、小児科定点から報告されている。さらに、ワクチンの定期接種導入に先立ち2014年9月19日から水痘入院例の全数報告が開始された。ワクチンが定期接種化された2015年以降の水痘患者報告数は明らかに減少している(図1)1)。患者の年齢分布をみると、定期接種化に伴い5歳未満の小児の割合が減少し、より年長児の割合が増加している(図2)2)。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起きた2020年以降は年長児も含めて水痘小児科定点報告数がさらに減少しているが、背景として新型コロナウイルス感染症対策として行われた徹底した飛沫・接触感染策が大きく影響していると考えられる。

参考文献

1)国立感染症研究所感染症疫学センター:グラフ総覧(第8週).感染症発生動向調査週報IDWR 26(8): 12, 2024 https://www.niid.go.jp/niid/images/idwr/pdf/latest.pdf(2024年3月3日閲覧)
2)国立感染症研究所感染症疫学センター:水痘ワクチン定期接種化後の水痘発生動向の変化〜感染症発生動向調査より・2021年第26週時点〜.2022年1月13日 https://www.niid.go.jp/niid/ja/varicella-m/varicella-idwrs/10892-varicella-20220113.html(2024年4月25日閲覧)
3)Takahashi M, et al: Live vaccine used to prevent the spread of varicella in children in hospital. Lancet 2: 1288-1290, 1974
4)WHO: Requirements for varicella vaccine, WHO technical report series 725, 1985
5)Hattori F, et al: Evaluating the effectiveness of the universal immunization program against varicella in Japanese children. Vaccine 35: 4936-4941, 2017
6)Marin M, et al: Global Varicella Vaccine Effectiveness: A Meta-analysis. Pediatrics 137: e20153741, 2016
7)Yoshikawa T, et al: Safety profile of the varicella vaccine(Oka vaccine strain)based on reported cases from 2005 to 2015 in Japan. Vaccine 34: 4943-4947, 2016
8)国立感染症研究所:水痘ワクチン定期接種化後の水痘発生動向の変化〜感染症発生動向調査より・第2報〜.病原微生物検出情報 37: 116-118,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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