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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生88巻8号

2024年08月発行

文献概要

連載 All about 日本のワクチン・20

おたふくかぜワクチン

著者: 後藤研誠1

所属機関: 1江南厚生病院こども医療センター

ページ範囲:P.848 - P.851

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1.当該疾患の発生動向
 ムンプス(おたふくかぜ)はムンプスウイルスによる全身性感染症であり、耳下腺のびまん性腫脹と疼痛を特徴とする疾患である。無菌性髄膜炎の合併頻度が高い(1〜10%)。脳炎の頻度は0.02〜0.3%と低いが後遺症を生じる可能性がある。ムンプス難聴(0.01〜0.5%)の多くが片側性だが高度な感音性難聴を来し永続的な障害となる1)
 おたふくかぜワクチンは、わが国においては1981年に任意接種として導入され、1989年には麻疹・おたふくかぜ・風疹混合(measles, mumps, rubella: MMR)ワクチンとして定期接種化された。しかしMMRワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発生(約1,200〜2万接種に1例)が問題となり、1993年にMMRワクチンの定期接種は中止され、以降おたふくかぜワクチンは単味の任意接種ワクチンとしてのみ使用されている。

参考文献

1)国立感染症研究所:おたふくかぜワクチンに関するファクトシート(平成22年7月7日版). http://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000bx23-att/2r9852000000bybc.pdf(2024年5月22日閲覧)
2)佐藤弘,他:近年における「おたふくかぜワクチン」の接種歴調査の結果について—2015年度感染症流行予測調査より.IASR 37: 198-199, 2016 http://www.nih.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2349-iasr/related-articles/related-articles-440/6830-440r09.html(2024年5月22日閲覧)
3)国立感染症研究所:<特集>流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)2016年9月現在.IASR 37: 185-186, 2016 https://www.niid.go.jp/niid/ja/mumps-m/mumps-iasrtpc/6822-440t.html(2024年5月22日閲覧)
4)国立感染症研究所:疾病毎定点当たり報告数 ムンプス2023年第32週.IDWR速報データ. https://www.niid.go.jp/niid/ja/data.html(2023年12月1日閲覧)
5)庵原俊昭,他:おたふくかぜワクチン.日本ワクチン学会(編):ワクチン 基礎から臨床まで.147-157頁,朝倉書店,2018
6)西村直子,他:ムンプスワクチン2回接種法の免疫原性.日小児会誌 121: 693-697, 2017
7)庵原俊昭,他:ムンプスワクチン:定期接種化への流れ.臨床とウイルス 42: 174-182, 2014
8)庵原俊昭:ムンプス(Mumps).臨床とウイルス 30: 28-32, 2002
9)予防接種部会,他:おたふくかぜワクチン作業チーム報告書. http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000014wdd-att/2r98520000016rqu.pdf(2024年5月22日閲覧)
10)Nagai T, et al: A comparative study of the incidence of aseptic meningitis in symptomatic natural mumps patients and monovalent mumps vaccine recipients in Japan. Vaccine 25: 2742-2747, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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