icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生88巻8号

2024年08月発行

文献概要

連載 ヒトとモノからみる公衆衛生史・15

結核の時代と療養する身体・3—病者と看護人の抗争史—すれ違う親と子

著者: 西川純司1

所属機関: 1神戸松蔭女子学院大学文学部日本語日本文化学科

ページ範囲:P.852 - P.854

文献購入ページに移動
はじめに
看護人……看護婦……と言ふ言葉は世の病者、殊に我々の如き慢的性(ママ)疾患である結核病者に取つて常に脳裏から去らない深い親しみの言葉です1)
 結核病者のほとんどが自宅療養を強いられていた戦前の日本では、家族が「看護人」としての役割を務めることが多かった。今号はこうした療養者の近くで看護していた人々に光を当ててみたい。そこでは療養者と家族である看護人が同じ空間や同じ空気を共有するからこそ生じる感情的なもつれ合いも少なからずみられた。雑誌『療養生活』の特集「私の看護人」に寄せられた読者たちの生々しい声に耳を傾けてみよう(図1)2)

参考文献

1)秋:慢性病者と看護人.療養生活 16(1): 26-28, 1931
2)満佐司:看護人は妻.療養生活 16(1): 16-17, 1931
3)小泉和子(編著):家で病気を治した時代:昭和の家庭看護.5頁,農山漁村文化協会,2008
4)雪朱里:「国民病」と呼ばれた結核.小泉和子(編著):家で病気を治した時代:昭和の家庭看護,105-125頁,農山漁村文化協会,2008
5)美都子:母を語る.療養生活 16(1): 20-22, 1931
6)邊宗浩:病床の楽園化.療養生活 16(1): 18-19, 1931
7)白柳:病人の癖に.療養生活 16(1): 28-29, 1931
8)宮崎芳由紀:私の母.療養生活 16(1): 30-32, 1931
9)スーザン・ソンタグ(著),富山太佳夫(訳):隠喩としての病い:エイズとその隠喩.19頁,みすず書房,2012
10)飯島渉:感染症の歴史学.203頁,岩波書店,2024

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら