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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生88巻9号

2024年09月発行

文献概要

連載 ヒトとモノからみる公衆衛生史・16

健康増進と「人生の最終段階」・1—「健康寿命」と不健康状態の圧縮

著者: 柏﨑郁子1

所属機関: 1東京女子医科大学看護学部

ページ範囲:P.959 - P.962

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はじめに
 健康増進(health promotion)とは何か。その内容は時代により変遷しつつ、個人の生活習慣の改善、環境の整備などを通した人々の生き生きとした生のためのポジティブなものとして一般的には捉えられているだろう。近年では、「健康増進緩和ケア(health promoting palliative care)」のように公衆衛生に終末期ケアを融合させる考え方も提唱されているが1)、少なくとも現在の日本の健康増進施策から終末期を連想する人は少ないだろう。終末期は、遠くない将来に死が訪れるであろうことが前提となった言葉なので、健康増進とのつながりは通常みえにくい。しかし、日本の健康増進政策を大局的にみると、終末期へのまなざしが健康増進を後押ししてきた歴史がみえてくる。今号から3回にわたって、読者と共にそのつながりを再発見していきたい。
 2002年に制定された健康増進法には、その前史として、「健康日本21」という運動がある。その運動においては、「健康寿命」という概念が掲げられた。今号ではまず、その成り立ちからみていこう。

参考文献

1)Kellehear A: Compassionate Cities: Public Health and End-of-Life Care. Routledge, New York, 2005(アレン・ケレハー(著),竹之内裕文,他(監訳):コンパッション都市—公衆衛生と終末期ケアの融合.慶應大学出版会,2022)
2)辻一郎:健康寿命の延伸に向けて—定義と概念の整理,そして関連要因.保健師ジャーナル 75: 552-558, 2019
3)厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会,他:健康日本21(第三次)推進のための説明資料.令和5年5月 https://www.mhlw.go.jp/content/001234702.pdf(2024年6月9日閲覧)
4)Fries JF: Aging, natural death, and the compression of morbidity. 1980. Bull World Health Organ 80: 245-250, 2002
5)健康・体力づくり事業財団(編):健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動について):健康日本21企画検討会健康日本21計画策定検討会報告書.24頁,財団法人健康・体力づくり事業財団,2000
6)藤澤由和:国家.中川輝彦,他(編):〔新版〕現代医療の社会学—日本の現状と課題.116-35頁,世界思想社,2015
7)柏﨑郁子:〈延命〉の倫理—医療と看護における—.151頁,晃洋書房,2024

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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