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連載 ヒトとモノからみる公衆衛生史・16
健康増進と「人生の最終段階」・1—「健康寿命」と不健康状態の圧縮
著者: 柏﨑郁子1
所属機関: 1東京女子医科大学看護学部
ページ範囲:P.959 - P.962
文献購入ページに移動健康増進(health promotion)とは何か。その内容は時代により変遷しつつ、個人の生活習慣の改善、環境の整備などを通した人々の生き生きとした生のためのポジティブなものとして一般的には捉えられているだろう。近年では、「健康増進緩和ケア(health promoting palliative care)」のように公衆衛生に終末期ケアを融合させる考え方も提唱されているが1)、少なくとも現在の日本の健康増進施策から終末期を連想する人は少ないだろう。終末期は、遠くない将来に死が訪れるであろうことが前提となった言葉なので、健康増進とのつながりは通常みえにくい。しかし、日本の健康増進政策を大局的にみると、終末期へのまなざしが健康増進を後押ししてきた歴史がみえてくる。今号から3回にわたって、読者と共にそのつながりを再発見していきたい。
2002年に制定された健康増進法には、その前史として、「健康日本21」という運動がある。その運動においては、「健康寿命」という概念が掲げられた。今号ではまず、その成り立ちからみていこう。
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