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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生9巻2号

1951年02月発行

文献概要

疫學總論・4

第4講 傳染經路(其の2)

著者: 野邊地慶三

所属機関:

ページ範囲:P.139 - P.141

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Ⅴ 水による傳染
(1)水により,傳染する傳染病の種類
 水による傳染(Water-borne infection)は普通飮料水を介して經口的に感染が起される。從つてこの傳染經路は消化器系傳染病に最も多く見られるものであつて,腸チフス,パラチフス,コレラ及び細菌性並にアメーバ赤痢は井戸水,水道水等によつて傳染流行することが多いことは一般民衆もよく知るところである。腸チフスの水系流行の場合は潜伏期は屡々3週間,時には4週間にも延びることを特徴とするものである。これは水中では病原菌は死滅する一方なので水による感染は稀薄感染となるためである。水系流行は一般に致命率の低いのもこのためである。
 水道による腸チフス流行の場合水道の汚染事故發生後1〜3日目から腸チフス患者發生に先行してこれに數倍する下痢及腸炎患者る發生を見ることがある。本病は水熱症(Water Sickness,Wasserfieber,述者は以前水道熱と譯したことがある)と呼ばれて居つて,粘液血便を排出する患者が少くないので往々赤痢の流行と誤られることがあるが,未知の病原体による下痢及び腸炎なのである。水道汚染の場合水熱症は腸チフスに先行して來る場合もあるが,單獨に本病だけ發生することもある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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