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醫藥隨想
戰後齒科と醫科との關係を眺めて—往時を顧みつゝ
著者: 金森虎男
所属機関:
ページ範囲:P.185 - P.185
文献購入ページに移動愈々戰爭が終つた。少數らしいが齒科醫師諸君のうちには,私共醫者から齒の專門をするものは,異人だといつて白眼視する人も出來たようである。殊に獨乙に留學した私のような者は,丸で敵のように見る人さえ現れて來たよらである。醫者から齒をやるものは齒科の學校へ這入つて出直して來いという譯で齒科專門標榜醫というものは罷りならぬという事にもなつか。それに對應するといふ譯でもあるまいが,齒科醫學專門學校を卒業したものは,餘裕があれば醫科の3年生に遍入させて貰えたものも,今は御免だというように成つた。先例が有るではないかといつて頼んで見ても,それは戰爭中の話だといつて何處でも取り上げない。又齒科醫は死亡診斷書を書いては成らぬといふ嚴命が出た。何だか,醫科と,齒科とは,段々離れるような氣がする。
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