icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生9巻4号

1951年04月発行

文献概要

時評

産兒制限と海外移民

著者: 岡崎文規

所属機関:

ページ範囲:P.227 - P.227

文献購入ページに移動
 産兒制限と海外移民とのあいだに密接な關係があるといえば,人は奇異の感をいだくかも知れない。もちろん,産兒制限を實行すれば,必ず海外移民が認められるというのではない。海外移民は,他國の領土へ人を送り込むことであるから,一方的にこれを取り計ろうわけにはいかないのであつて,政治的または外交的折衝に待たなければならない。過剩人口を緩和するための一つの手段として,海外移民の必要を唱えても,海外移民が眞に過剩人口問題の解決に役立つことを緒外國に納得させなければ海外移民について好意的な考慮は拂われないであろう。この意味において,産兒制限の實行は,海外移民を好意的に考慮せしめるための重要な要件であるといわなければならない。
 フェヤチャイルド博士は,1945年に,「世界人口移動と合衆國」と題する論稿のなかで,高い出生率をもちつずけている過剩人口國に移民を許しても,移民の送出によつて生じた空席は増加人口をもつてたちまち埋めつくされるから,移民は,その送出國の過剩人口問題の解決には全く役立たないのであつて,その受入れ國にとつて,國内的に面倒な問題をひき起すにすぎないといつている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら