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1950年における法定傳染病
著者: 平出光1 飛鳥井きみ1
所属機関: 1厚生省統計調査部
ページ範囲:P.233 - P.239
文献購入ページに移動終戰後,適切にうたれた公衆衞生的な措置により,わが國の傳染病患死者は,まことに所謂「ナイヤガラの瀧」的勢いをもつて減少したことは,既に私達の知るところであるが,さて昨昭和25年における法定傳染病の發生状況はどのようなものであつたろうか。この本題に入る前に,1950年からのそれを簡單に數表と圖表により一瞥してみたい。
表1・圖1より,とくに目立つのは赤痢の増加であつて,同じ消化器傳染病の腸・パラチフスが終戰後著しい減少を績け,1950年にはそれぞれ罹患率5.9 2.1という届け出が始まつて以來最低の値を示したにも不拘,この疾患は1949年より再び勢を盛り返し,49年29.1 50年59.7と,2倍強の流行ぶりである。貧しい私達の國にとつて,赤痢の撲滅を豫防接種にのみしか,頼るすべがないとすれば,これは又,餘りにも淋しい話であろう。
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