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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科1巻2号

1947年05月発行

文献概要

〔Ⅰ〕原著及臨牀報告

角膜組織の呼吸に就て

著者: 笠原幹夫1

所属機関: 1日本醫大生化學教室

ページ範囲:P.76 - P.81

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 角膜組織の試驗管的保生のための適當な條件を求める目的を以て.家兎の角膜の組織呼吸を對稱として,數種の實驗的觀察を行つて,次に要約する様な結果を得た。
 1)家兎の角膜(全層として扱ひ)の呼吸値は平均Qo2=−0.91である。これは他の二三の動物の角膜に較べて,特に高くもなく,又特に低いものでもない。
 2)低温で血清中に保つならば,家兎の角膜は240時問に瓦つてもなほ其透明性を保ち,呼吸量はなほ初めの量の50%以上を維持してゐる。48時間以内にあつては,むしろ一時的に呼吸の高まつてゐる時期がある。
 3)これを他の二三の臓器の保生切片に比較して,顯著な差異を認めた。
 4)角膜を構成してゐる三層のうち,内被層及び上皮暦の呼吸量は,實質層のそれに較べて,著しく高い。かく剥離した各單層を,低温血清に保つた場合,最敏感に呼吸量を失ふのは内被層である。實質層の抵抗が最高いが,上皮暦の抵抗も又相當に高い。
 5)角膜の呼吸切片の各種媒體液中の呼吸量を比較すると,Rlnger液,血清,前房水,燐酸鹽Ringer液の順に高い。しかしこの差は特に顯著なものとは言ひ難い。
 6)滷性側の方が酸性側に於けるよりも角膜呼吸量が高い。中性から酸性に傾くにつれて,呼吸量は急に低下する。
 7)角嗅の呼吸は,Vitamin B2及び青酸に反應する。前者によつて呼吸は高められ,後者によつて抑制をうける。但,これらの影響を特に顯著なものとは見做し難い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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