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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科1巻3号

1947年09月発行

文献概要

〔Ⅳ〕私の經驗

小涙管は擴張か切開か

著者: 越智淸蔭

所属機関:

ページ範囲:P.145 - P.146

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 流涙を訴へる患者の中で他に何等原因なく單に涙道に變化があつてブヂーを使ひその治療をなした人で涙嚢洗滌によつて普通に液が鼻腔内に流下するにもかゝわらず流涙に悩む患者がある。一方涙道に何等機質的變化なくして機能不全或は無氣力症とでも言ふべきものがあるのであるから當然ブヂー挿入を受けた患者の中にも機能不全と言つた様なものがあることが考へられる。然し一番考へられるのは表題の如く小涙管も切開したか擴張したかと言ふことが一つの問題だと思ふ。結論から先きに言へば私の經驗では小涙管は擴張すべきもので切開すべきのでない。切開が大なれば大なる程流涙は多い様に思へる。漫然たる統計であるけれども少くとも患者の自覺ではそうである。たまたま左右切開の程度が大差あり,涙嚢洗滌のとき流下の程度が同じ位のもの二三につき公炳禹氏の涙道檢査法を試みた結果は切開が大なる方流通不良と言ふことになつた。敢へて二三と言つたのはあつらへ向きの患者が割合ないので少數の患者で連續的に毎日檢査したので檢査囘數に開きがあつたのである。一方ブヂーを挿入したことのある患者であるから色々な程度で涙道に洗滌のみによつては知ることの出來ない變化があることが考へられるから流涙を小涙管の切開にのみ大きく責任をもたせることは適當でないかも知れない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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