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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻1号

1956年01月発行

文献概要

臨床実験

乳頭隣接部網脈絡膜炎の軽症形に就いて

著者: 飯沼巖1

所属機関: 1和歌山医大眼科

ページ範囲:P.29 - P.32

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1.はしがき
 乳頭隣接網脈絡膜炎Retino-chorioiditis juxta-papillarisは1908年Edmund-Jensenによつて始めて記載されたものであり,本症の特徴とするところは,(1)乳頭に隣接して綿片様乃至舌状の混濁潤巣の現われること,(2)盲点から周辺へ拡る扇状の視野欠損が証明されることと考えられている。然し,更に本症の定型的な症例に於ては,この混濁巣が乳頭の1〜2倍径にして網膜面より軽く隆起し,之により網膜血管は陰顕し,乳頭は浮腫,混濁,充血状,時に附近の網膜に軽い出血を認める。又屡々僅かの硝子体混濁があるが,視力障害は左程強くない等の症状が挙げられている。
 このように,定型的な諸症状を具えていなくても,実際,前述の2特徴により本病として取扱われている場合が多い。そうすると,更に,症状の極めて軽い場合を考えると,乳頭隣接部の混濁病集が,乳頭径より遙に小さくても,又扇形の視野欠損が,絶対欠損でなく,比較的欠損として証明せられる場合であつても,前記2特徴をさえ具えていると為し得る故に,一応本病と考えてよいことになりはしないか。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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