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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻11号

1956年11月発行

文献概要

第6回線合医学賞入選論文

近視眼の遺伝機構に関する研究

著者: 古庄敏行1

所属機関: 1熊本大学理学部生物学教室

ページ範囲:P.1393 - P.1403

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 近視眼の原因に関しては古来唱えられる学説極めて多く,多数の統計的観察や実験的研究の鍵を以てしても,猶容易にこの原因を極め得ざる状態にあつて,その論容易に盡くる所をみなかつたが近時各方面よりの研究が綜合的に検討せられた結果,成因解明の上に一筋の光明が認められる様になつて来たようである。
 近視眼の発生に近業が関与するということは古い問題で既にKeplerの唱えるところであるがCohnは広汎なる統計を基に,近視眼は学生に多く発生し近業がその原因であるとする後天的発生説を唱えた。近視眼ではその眼軸が長いことが多くの学者に認められていたが,この点についてはGraefe-Saemisch (1903)に次の様な記載がなされている。すなわち,長く存在する毛様筋収縮はついに持続的の水晶体膨隆を起し,一種の水晶体近視を生ずるという意見は,最初Jagerに依り,その後もしばしば発表されているが事実の証明は未だないようである,と。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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