icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻11号

1956年11月発行

文献概要

談話室

Euthyscopによる弱視の治療

著者: 秋山晃一郎1

所属機関: 1順天堂大学(在ボン大学)

ページ範囲:P.1446 - P.1448

文献購入ページに移動
 佐藤勉教授殿
 ライン河畔を流し歩いているDrehogelの音が妙に冴えわたると思いましたら,そろそろここボンの町にも秋がやつて参りました。河べりの芝生の上にねころんで懸命に日光を吸収して居る御婦人の姿をよそにSiebenge-birgeの山々はやや黄味がかつて来たようです。それにしてもライン河というのはどうしてこう人々に親しみを与えてくれるのでしようか。この頃は私もAugenklinikよりはついライン河畔へと歩いて来てしまいます。
 今日は先生にGiessen大学のDoz.Dr. Cupperの始めたEuthyocopによる弱視の治療法について御報告いたします。Bangerterの影響をうけて,ドイツおよびスイスで近頃盛んに弱視の治療が行われて居ます。その波にのってCupperの方法も新しい問題を呈示しているようです。Euthyscopというのは通常のVisusscopによく似ている小さな機械(写真参照)で,彼の着想は中々面白く概ね次のようなアイデイアによるものです。黄斑部を除いた眼底周辺部に光刺激を与えてやれば,その部は残像のためにしばらく物が見えないが,黄斑部のみは光から保護されて居たので,機能は障碍されず物が見えるわけです。周辺部の残像がなくならない間に色々なものを読ませて黄斑部を訓練するというわけです。この時は丁度中心外固視のある部は一時機能停止となるから絶好のチヤンスというわけです。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?