icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻12号

1956年12月発行

臨床実験

Succus Cineraria Maritimaの点眼による白内障の治療

著者: 藤山英寿1 松本剛一1 加藤道夫1

所属機関: 1北海道大学医学部眼科

ページ範囲:P.1499 - P.1504

文献概要

 嘗て,本誌第8巻,第11号に,本剤の点眼による外傷性白内障治療の2例を発表した。1例は非常によく吸収され,他の1例は少も吸収されないものであつた。そのとき,この2例を比較検討して,吸収された1例は,窓ガラスの破片によつて水晶体嚢が大きく破砕され,溷濁した水晶体は花菜状に前房内に膨隆していたのに反し,吸収されなかつた他の1例は1mgという小さい鉄片によつて水晶体嚢が穿通され,溷濁した水晶体は原形のまま嚢内に閉じ込められて居つたという事実から次の如き考察を下したのであつた。即ち,溷濁した水晶体質が本剤の作用を受けるためには,これが前房内に膨隆していることが必要であると思われると。しかし,水晶体嚢が充分に破砕されてさえ居れば,敢て前房内膨隆がなくとも,殆んど完全に吸収されることが,本報にとり扱つた実験例によつて明かになつた(第1例参照)。しかし,溷濁した水晶体質が前房内に花菜状に膨隆し,或は浮雲状に遊出して居れば,本剤との接触が最も佳良であると考えられるので,この前房内膨隆が望ましい状体であることは勿論なのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら