icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻13号

1956年12月発行

特集 トラコーマ

プ氏小体に関する考察

著者: 浅山亮二1

所属機関: 1京都大学

ページ範囲:P.1658 - P.1662

文献概要

 トラコーマ(以下トラと略す)の病原問題に於いてプロウツエク氏小体(以下プ氏小体と略す)は極めて重要な研究対象として多数の研究がなされて居るが,その本態に関しては種々の論議があり,未だ意見の一致を見て居ない。然し乍ら,トラがウィルス病であろうと云う事はウイルスに特有な諸性状が相次いで実證されて略々認められて居るのであつて,プ氏小体がトラ病原体の集団であろうと言う事も略々確実である。
 一方臨床的の見地より見れば,トラの診断には結膜及び角膜所見と共に結膜上皮擦過標本よりのプ氏小体検出が重要であつて,殊に急性トラの診断に際しては結膜上皮擦過標本に於けるプ氏小体の検索は必須の事項である。即ち急性トラ乃至封入体性結膜炎に於いてプ氏小体は診断的価値を有し,結膜上皮擦過標本にプ氏小体を証明して初めて急性トラ乃至封入体性結膜炎の診断が確定する。然し逆にプ氏小体陽性の所見のみから直ちに急性トラと診断する事は勿論不可であつて,慢性期トラに細菌性結膜炎の重感染を起して恰も急性トラの如き急性炎症々状を呈する場合が少なくない事は云う迄もない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら