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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻13号

1956年12月発行

文献概要

特集 トラコーマ

泌尿生殖器トラコマーの問題

著者: 大石省三1 瀨尾政記2

所属機関: 1山口医大 2小野田病院産婦人科

ページ範囲:P.1695 - P.1700

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1.緒言
所謂泌尿生殖器トラコーマに関しては眼科のトラコーマ研究者の間でかなり古くから興味を持たれた一つのテーマであり,三井氏が最近発刊の日眼全書トラコーマ編を分担された中にも,一項目をその為にもうけて氏の見解に立脚して論述されている。1)
 偶々大石は満洲に於いてプロワツエク氏小体(以下プ氏小体)の研究を行い,引つづいて帰国後もトラコーマの問題に関心をよせているが,石原教授一門の人々の研究に敬意を表すると共に尚トラコーマの病原体としてプ氏小体で説明し盡さんとする主張には疑義をさしはさんで来た。2)3)4)今泌尿生殖器トラコーマの解明に対しても出来る丈客観的な立場からこれを批判してみたいと思うのであつて,古典的トラコーマと云う言葉で形容し去ろうとする人々の現代的トラコーマ観には多少異つた観点で論旨をすすめることになるかも知れない。この点大方の反論を予期しないでもない。只トラコーマの定義が我国の学界で論議されつつある時代に,一応トラコーマは涙液と密接不離の関係におかれた病原と考える人々の多い中に僅かに一ヵ所涙液と無関係の泌尿生殖器粘膜のみは特殊親和性を有するかどうか,又この部がトラコーマの温床であると仮定すればトラコーマの予防,治療,研究の各方面から極めて重要なことと思われる。従つて未完成ながら最近の小研究に私見を加えて略述し,今後のトラコーマ研究に於ける一分野として考慮する価値を認めるか否かは諸賢の判断に俟ちたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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