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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻2号

1956年02月発行

文献概要

特集 第9回臨床眼科学会号 シンポジウム--トラコーマ

日本に於けるトラコーマ家庭内感染成立要因に就いて

著者: 香川勘右衞門1 許秋木

所属機関: 1大阪赤十字病院眼科 2大阪市原田眼科

ページ範囲:P.149 - P.164

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1.緒言
 伝染性疾患の予防並びに治療を行う場合,常に其の伝染経路を考慮しなくてはならない。トラコーマ(以下Tr.と略)は伝染性眼疾患のうちでも最も高率に見受ける疾患で,且日本の三大国民病の一つとして数えられて居り,古くから此の対策は種々行われて,特に治療に就いては色々な方法が考案実施されたが,その殆んどは疫学的考慮を払わずに行われて来た。従つて程度の差こそあれ再発,再感染するのが常であつて,充分に治療効果を挙げて居ない現状である。急性伝染病はその発生に備え,現在予防が治療に先行して居るがTr.の様な特に経過が長い慢性伝染性疾患こそは急性伝染性疾患より以上にその予防を重視すべきで,此の為には系統的な疫学的研究に基いた感染因子の検索,追求が行われなければならない。
 戦後日本に起つた社会情勢の変化はあらゆる分野に影響して著るしくその様相を変え,戦前との比較を困難にした。医学領域も此の影響を被つて居るが,特に疫学はその研究対象が社会科学的要素に富む為,戦前の研究結果をそのまゝ今日に応用する事は困難となつている。上述の様な多くの理由に加えてTr.予防は国家的見地から緊急を要する現状であるので,戦後のTr.について疫学的研究を試み,先づ濃厚感染地区住民及び都市の学童について疫学的研究と実験を重ね,Tr.感染源の追求と感染因子の分析を行つて見た。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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