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特集 第9回臨床眼科学会号 シンポジウム--トラコーマ
トラコーマの臨床経過に基いたトラコーマ分類法の一私案
著者: 上野弘1
所属機関: 1京都府立医大眼科
ページ範囲:P.165 - P.169
文献購入ページに移動 今日尚其本態の捕捉せられていないトラコーマ(以下トと略す)に対する見方に,人夫々の所説の相違のあることは当然である。従来,各研究者のト診断,分類等がまちまちである結果,トの綜合的な観察は殆んど全く不可能と言つていい。個々の学者が夫々の立場からトを追及することも間違いではないが,他の多くの業績を自らの視野において比較検討し得ないのであって,斯る研究の在り方の大いなる間隙である。ト研究の系統性と言う点から,トの分類法の統一が切望せられる。此気運は独り日本のみならず,欧米にも認められるのであつて,即ち1952年提案せられたWHOト委員会の分類法が其国際的気運を物語つている。
トに関する現在の知識の質と量からすると,恒久的な1本の分類法の設立は到底望み得られないが,立場を異にする総ての人々が等しく採用し得る暫定的分類法の設定は,必ずしも不可能ではない。対立する諸学派間に生じ易い排他主義を禁じ,今後現われる研究成果の吸收,消化に依つて改訂補足するの純科学的広量の上に設けられなければならない。他方一般眼科医としても,多少の不足不満を押えても,規定せられる分類法を活用するだけの度量が必要である。此為には,統一的分類法の内容が,可及的合理的,実用的でなければならない。
トに関する現在の知識の質と量からすると,恒久的な1本の分類法の設立は到底望み得られないが,立場を異にする総ての人々が等しく採用し得る暫定的分類法の設定は,必ずしも不可能ではない。対立する諸学派間に生じ易い排他主義を禁じ,今後現われる研究成果の吸收,消化に依つて改訂補足するの純科学的広量の上に設けられなければならない。他方一般眼科医としても,多少の不足不満を押えても,規定せられる分類法を活用するだけの度量が必要である。此為には,統一的分類法の内容が,可及的合理的,実用的でなければならない。
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