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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻2号

1956年02月発行

文献概要

特集 第9回臨床眼科学会号 一般講演

(1)「アドレノクロマソーン」の血液房水柵に及ぼす影響について

著者: 野村なつみ1

所属機関: 1東邦大学眼科教室

ページ範囲:P.177 - P.182

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緒言
 偶角鏡の発現以来,緑内障の本態に関する研究が盛んに行われる様になり,それに伴い血液房水柵の問題も注目される様になつてきた。従つて其報告も多く,欧米に於いてはMaurice,Kenneth,Ehrlich,Kinsey,Hugo,Amsler,Huber等,我国に於いては赤木,梶ヶ谷,稲用,黒瀨,日隅松浦氏等の報告が見られる。
 一方「アドレノクロマゾーン」は,1937年Green& Richerによつて初めて見出され,1943年Bra-connier等によつて安定化されて,臨床的に使用可能となつたもので,主として止血効果の面に於いて重要性が認められてきたものである。本剤に関する本邦に於ける現在迄の報告を見ると,蛭間小沢氏等の藥理学的研究の他は,主として臨床的に毛細血管の透過性が論じられたものである。又本剤は一面,脳下垂体前葉を刺戟して,ACTHの分泌を促進し,間接的に副腎皮質から「コルチコイド」の分泌を促すと述べたVidal & Ribas(1952)の報告があるが,吾人にとり興味のある事と云わねばならない。此様な作用を持つ「アドレノクロマゾーン」は血液房水柵の透過性を抑制する事は想像される処であり,之れが検索は,房水循環に対する「ダイアモツクス」等の態度と共に興味のある事と考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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