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臨床実験
硝子体の細隙灯顕微鏡的所見—第三篇 硝子体嚢腫
著者: 陳昆暁1
所属機関: 1台湾呉基福眼科研究所
ページ範囲:P.439 - P.451
文献購入ページに移動先天性硝子体嚢腫は1898年Thompson氏によつて始めて報告されたのであるが,内外諸文献にわたつて此れを通覧すればわかる様に稀有の疾患であるとされていた。又此の極く少数例の報告例に於て,其の本態に関して,それが先天性のものであるか変性性,或は炎症性のものであるかに就ての論断は,常に明確を欠くものがあつた。清水氏の報告に依れば,硝子体嚢腫様物の報告例はThompson氏から清水春松氏(1941)に至る迄僅かに29例で,その中真に先天性硝子体嚢腫を思わせるものは23例であり,網膜色素変性症例に発見されたもの(Lacarre,Lithinsky Perana諸氏)虹彩毛様体炎及び硝子体溷濁(Brewersteen氏)脈絡膜炎(Risley氏)其の他の疾患(Kollen氏)を合併して第二次病的産物として嚢腫を発生したと考えられるものが6例である。著者は幸運にも本研究所成立以来1年有余の極めて短期間に於て硝子体内嚢腫様物を10眼(8例)の多数に就て観察する機会を得たので本篇に於ては其の詳細なる症例報告をすると共に其の本態的考察をも併せ記述する事にする。
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