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文献概要
臨床実験
ハイドロコーチゾンの角膜創傷治癒に及ぼす影響
著者: 岡田茂1 高尾泰孝1
所属機関: 1東大分院眼科
ページ範囲:P.488 - P.493
文献購入ページに移動Ⅰ.緒言
1885年Homas Addison氏が今日のAddison氏病が,副腎殊に皮質と密接な関係を有することを提称してから,副腎は非常に注目せられるに到つた。以来多くの研究者によつて,副腎皮質ホルモンの抽出という困難な問題が追求せられ,遂に1933〜1935年にかけてGroelmann and Firor,Kendall,Winsteiner.等により,純結晶の物質が得られた事は,既に成書に明らかである。以来,生体に於いて分泌せられる副腎皮質ホルモンの種類及び其の作用機転の本態が種々研究され論議されたが,未だ十分解明されたとは云えず,Hust-manの言う様に,general tissue hormanと表現することが妥当であろうと考えられている。
我々もコーチゾン(以下Cと記す)の治効の本態を究明すると同時にその使用法をも併せ検討するために,先ず角膜創傷治癒機転に及ぼす影響に就て実験し,その大要を第316回東京眼科集談会(昭和27年12月)に於いて報告し,次いでハイドロコーチゾン(以下HCと記す)に就ても,同様の実験を行い,両実験の結果を眼科臨床医報(49巻,5号)に掲載したが,この発表では,HCとCの間に角膜創傷治癒に関しては優劣の差を認めなかつた。
1885年Homas Addison氏が今日のAddison氏病が,副腎殊に皮質と密接な関係を有することを提称してから,副腎は非常に注目せられるに到つた。以来多くの研究者によつて,副腎皮質ホルモンの抽出という困難な問題が追求せられ,遂に1933〜1935年にかけてGroelmann and Firor,Kendall,Winsteiner.等により,純結晶の物質が得られた事は,既に成書に明らかである。以来,生体に於いて分泌せられる副腎皮質ホルモンの種類及び其の作用機転の本態が種々研究され論議されたが,未だ十分解明されたとは云えず,Hust-manの言う様に,general tissue hormanと表現することが妥当であろうと考えられている。
我々もコーチゾン(以下Cと記す)の治効の本態を究明すると同時にその使用法をも併せ検討するために,先ず角膜創傷治癒機転に及ぼす影響に就て実験し,その大要を第316回東京眼科集談会(昭和27年12月)に於いて報告し,次いでハイドロコーチゾン(以下HCと記す)に就ても,同様の実験を行い,両実験の結果を眼科臨床医報(49巻,5号)に掲載したが,この発表では,HCとCの間に角膜創傷治癒に関しては優劣の差を認めなかつた。
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