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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻3号

1956年03月発行

私の経験

最近の治療経験より—抗生物質並に向副腎皮質ホルモンの全身投与

著者: 水川孝1 武村敬1

所属機関: 1徳島大学眼科教室

ページ範囲:P.569 - P.574

文献概要

Ⅰ.緒言
 最近の治療的方面(藥物療法)に於ける進歩は実に目ざましいもので,或種の新藥に対する治療経験が十分体得されない内に,一歩進んだ製剤が売り出されるくらいなため,昔の様に各人が自己の得意な処方として,一つの藥品を使いこなしたり,ましてや家伝藥として或藥品のみを使える等ということは殆んど不可能となつたと思う。次から次へと出てくる新藥を使うどころか,覚えることすら困難な時代とさえ言えそうだ。勿論なかには,その有効性が極めて顕著であることは認めていても,色々の条件で(主として経済的に,又社会保険制度のために)使用不能なことや,使用が局限していることを屡々経験している。例えば,Cortisoneは局所投与でも極めて有効なため,吾友眼科専門医は早くよりその効力を体験しているが,その全身投与の機会は少く,ACTHの如く全身投与によらなければ,効力のないものは,その効力を認める機会が稀であつた。又抗生物質の中でもペニシリンを始めとしてかなりのものは,いづれも局所的にその有効性が認められる故,大いに利用しているが,それらの全身投与の経験は最近まで少なかつた様だ。
 元来眼疾患の多くは眼局所の病変であるため,その治療も先ず局所的に行われるのは止むを得ぬとして,各種抗生物質並に向副腎皮質ホルモンの全身投与の必要性がない訳ではなく,全身的治療と局所的治療の併用によつてこそ卓越した治療効果が得られる場合が屡々ある様に思える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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