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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻4号

1956年04月発行

文献概要

特集 第9回日本臨床眼科学会号 〔一般講演〕

(22)網膜対応異常について(抄録)

著者: 原田政美1

所属機関: 1東大眼科

ページ範囲:P.695 - P.696

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 斜視の治療に於て,網膜対応が正常ならば,比較的容易に両眼視機能を恢復することが出来る。然し乍ら対応関係が異常の場合は,両眼視機能の恢復を望めないことが極めて多い。然も対応異常の斜視患者は,少数例外的に存在するのではなくて,一眼視力不良の為,到底両眼視機能の恢復を望めない者を除外した斜視患者の,大多数を占めるものである。従つて,対応異常は斜視に於ける研究課題の最重点となるべさものであり,対応関係を無視した斜視の研究はあり得ないものと考える。然し乍ら我が国に於ける此の分野の研究は,僅かに稲葉六郎,本多得二両氏の,手術の予後に関するものだけである。
 従来,網膜対応異常は眼位の異常に対する後天的適応として発生するものと考えられている。私は,対応異常を有する斜視に関する症例経験,機能検査,統計的観察等から,対応異常の後天的適応説に,多くの矛盾があることを認めた。Adler及びJackson (1947)は,「眼位の異常と,対応の異常どどちらが先か?」との疑問を投げかけているが,私も後天適応説よりは寧ろ,対応異常が先ず存在し,次で之が原因となつて眼位の異常が起り,斜視となるものではないかと,疑うに至つた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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