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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻4号

1956年04月発行

文献概要

特集 第9回日本臨床眼科学会号 〔一般講演〕

(32)血清蛋白像より見た眼皮膚粘膜症候群(続報)

著者: 小林淸房1

所属機関: 1千葉大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.738 - P.742

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緒言
 皮膚・粘膜の発疹又は潰瘍に関連して諸種の眼症状を発現する疾患としては,既に前世紀以来数多くの症候群が知られ,その臨床所見に就ての報告は枚挙に遑ない。最近Franceschetti等1)は之を"Mucocutaneo-oculare Syndrome"の名の下に総括した。在来の多くの人名を冠せられた症候群は各々に特徴的病像を有してはいるが,其の間に必ずしも明確な境界を附し得ず又その不全型も多いと思われる。私は10数例の再発性虹彩炎乃至葡萄膜炎に於いて屡々アフタ性口内炎,結節性紅斑,リウマチス,注射針痕其他の創傷の化膿傾向を伴い,2,3症例に於ては更に陰部潰瘍を伴つて典型的なBehget症候群を発現するのを観察した。一般に虹彩炎患者に於てアフタ性口内炎,結節性紅斑,リウマチス様疼痛等を伴う事の多い事は既に鹿野氏4)も指摘したところである。
 飜つてかかる眼皮膚粘膜症候群特にBehget症候群の成因に関しても甚だ多数の見解が発表され主として化膿菌,結核菌乃至そのアレルギー,非特異性過敏症,病巣感染等が多くの人の提唱するところであり,一方N.Sezer2)は本症の病原体としてのウイールスを分離したと報じている。然し病原体の問題はしばらく措き,本症の複燐なる病像は単なる感染症の概念を以つては充分に説明し得ないとなし,2次的にアレルギーが加わつてかかる臨床像を発現すると言う説1)も充分に考えられるところである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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