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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻4号

1956年04月発行

文献概要

特集 第9回日本臨床眼科学会号 〔一般講演〕

(41)緑内障に関する研究(第九篇)—緑内障患者血清中のコリンに就て

著者: 衣笠治兵衞1 宇山史郞1 三村康男1

所属機関: 1大阪大学眼科

ページ範囲:P.766 - P.768

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 緑内障はその背後に,植物神経系の立場から眺めた場合,交感神経緊張状態を示す血管神経症の存在することは,従来から多くの研究者によつて種々の面から支持されて来たのであるが,直接これを実証したと考えられる実験成績は甚々少いように思われる。
 交感神経緊張症は,交感神経と副交感神経の緊張状態の平衡破綻に基くものであるから,アセチルコリンとアドレナリンとの量的な関係が重要な役割を持つであろうと云う事は述べる迄もないと思われる。ところが,生体内のアセチルコリンとコリンとは,コリンエステラーゼの存在下に於ても,極めて安定した比率を保つているが,これは主として両者間の化学平衡によるものである事も最近立証せられた。従つて緑内障患者血液中の総コリンとアドレナリンとの量的比率を知ることによつて,本疾患に血管神経症の存在することを立証する極めて有力な手懸りが得られるものと考えそれ等物質の定量を計画し,先ず緑内障患者血清中の総コリン量を測定して,これを健常者のそれと比較し,いさゝか興味ある知見を得たので,こゝに報告しようと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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