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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻4号

1956年04月発行

文献概要

特集 第9回日本臨床眼科学会号 〔一般講演〕

(42)頸動脈注射—眼及脳の血管痙攣—人工癲癇様発作癲癇の本態について

著者: 清水新一1

所属機関: 1岐阜医大眼科

ページ範囲:P.769 - P.773

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 電解質で食塩の様に単塩基酸の塩とか,硫酸マグネシウムの様に多塩基酸の塩といつた中性アルカリ性塩でも葡萄糖の様に非電解質であつても,此等の晶質水溶液を頸動脈に注射した場合は勿論,溜水を頸動脈に注射した場合でも,注射中から注射後暫くの間——例へば犬や猫では対班1乃至5竓を37℃に温めて1分間に5竓位の速度で注射すると約10分間——眼部や脳の血管特に動脈が狭小するのを,臨床的にも解剖的にも確めて昭和19年に報告した。其後生体で諸種の薬物や造影剤を頸動脈に注射しても大体同様な事が認められる事は屡次報告した通りである。
 私共が日常臨床で頸動脈に注射している量は20竓内外で,此を速い時は約3秒,遅い時は約1分かかつて注射しているが,通常は10秒内外である。すると此の注射中から注射後は極短時間,大抵は1分内外であるが,注射側の顔半面や眼部が多少共蒼白になる。其後同側部は他側部と鮮明な境界を画いて発赤して来るのがよく見られる。特に,カルシウム剤,撒曹剤,硫麻,ピラセトン,高張糖では此が著明に見られ,尚注射中熱感を訴える者が多い。然し此の所見は同じ薬液でも温度や注射速度等によつて差があり,又同一溶質でも滲透圧濃度で差があり,高張又は低張になればなる程著しいのが常である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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