文献詳細
トラホーム予防協会会誌
文献概要
トラコーマの統計的或は疫学的観察に関しては従来多数の報告がある。然し其れらの報告の多くは殆んど局地的なものであり,系統的なものとしては,戦前に於ては旧陸軍省が壮丁徴,兵検査の際行つたトラコーマ検診の成績,戦後に於ては文部省の発表による小・中・高等学校の児童生徒のトラコーマ罹患表及び厚生省調べによるトラコーマ患者人数がある。徴兵検査の際の検診は軍医が行つたものであり,文部省発表のものは学校医が行つたものであり,又厚生省調べによるものは保健所で検診したものであると考えられ,夫々皆意味を持つて居るけれども,それらの多くは眼科専門医でない一般医によつて行なはれたものであると考えられる。そこで其れらと眼科専門医のみの検診によるものと比較する為に,其の一方法として戦後に於ける眼科の文献に現われたトラコーマ患者の統計を行ひ,其れらと比較観察を行うと同時に,トラコーマ撲滅の重要手段の一つと考えられる集団治療の成績をも併せ観察した。
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