臨床実験
ハイドロコーチゾンの眼科的応用
著者:
三浦寛一1
奥平喜惟1
上野一也1
田中好文2
重松典雄3
前田泰子3
所属機関:
1京都大学眼科
2京都国立病院眼科
3大阪北野病院眼科
ページ範囲:P.1019 - P.1028
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最近数年間に卓越した治療効果を示す各種抗生物質が登場し,次でコーチゾン,ACTH等のステロイドホルモンが出現したが,我々眼科領域に於ても此等薬剤は広く応用され,十数年前に比べ治療方針には一大改革が齎らされた。中でもコーチゾンは,眼科領域に於ける各種疾患に対し,確実にして,而も顕著な治療効果を示す点より必須の薬剤とされるに到つた。特に一般には局所使用によつて確実な効果を示すため,全身投与による不愉快な副作用を全く避ける事が出来る。扨て,ハイドロコーチゾン(Compound F.)は,コーチゾン(Compound E.)と類似の構造を有し,既に1938年Mason, Hoehn and KendallにょつてC12O4SeriesのCompound C, D, E, G,と共に記載されている。併し其臨牀的応用は,最近3〜4年来漸く注目される処となり,ステロイドホルモンのニユーフェィスとして登場すに到つた。
ハイドロコーチゾンは強い抗炎症性作用,抗アレルギー作用を有する副賢皮質ホルモンの一つであり,而もその臨床的応用に於てコーチゾンより広く,又その効果に於てコーチゾンより勝れ,約1.5倍強いとさえ云われて居り,既にM.D.Gor-don, McDonold, R.H.Dickinson, M.J.Hogan等を始め,我国に於ても,三井・山下,筒井,倉知,鴻,池田等の報告がある。