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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科10巻7号

1956年07月発行

文献概要

臨床実験

乳児砒素中毒の眼所見

著者: 浅山亮二1 塚原勇1 坂上英1 今野信一1 永井秀夫2

所属機関: 1京大医学部眼科教室 2京大医学部小児科教室

ページ範囲:P.1103 - P.1110

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 周知の如く,昭和30年に,我国で著明な森永のMF印粉乳による集団砒素中毒が発生し,中国,四国,近畿地方にわたりその数は約8000人以上と推定される多数の中毒患者を出した。此の事件は患者が乳児である点に於て世界最初の珍しいもので,既に各所で報道された事ではあるが,次に本事件の経過を要約する。
 昭和30年8月初めの頃から,中国,四国地方に不明の疾患が乳児に多発し,岡山大学小児科学教室浜本教授をはじめ,病理学,法医学教室関係者が検討した結果,森永・徳島工場製のMF印粉乳中に混入した砒素(以下Asと記す)による中毒である事を決定して,8月23日夕刻発表した。翌24日には各新聞社がこの事件を掲載したので,8月25日以降,中風四国,近畿各地方ではAs中毒の疑を以て多数の患者が各病院を訪れるにいたつた。粉乳にAsが混入した原因は,森永・徳島工場で粉乳製造過程に於て緩衝剤として用いたNa2HPO4と砒酸ソーダが誤り使用されたといわれ,同工場製MF印粉乳Lot番号5410以降の粉乳にAsが含まれている事が判明した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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