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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科11巻1号

1957年01月発行

文献概要

臨床実験

緑内障に関する研究(第8篇)—諸種薬物の前房内注入による眼圧変動に就いて(其のⅡ)

著者: 衣笠治兵衞1 湖崎弘1 東郁郎1

所属機関: 1大阪大学医学部眼科

ページ範囲:P.31 - P.36

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1.緒言
 実験的に動物に緑内障をおこす手段としては,現在迄の所,主として局処的に薬物を投与するという方法が採られている。而うして,その際用いられている物質の種類は多種多様にのぼつている。既に報告した様に,私共は実験的緑内障の研究に当り,房水の化学的組成が緑内障の場合如何なる変動を示すかという問題の解明に一歩近ずく目的で,Kimsey初め多くの研究者の報告で見られる様に,房水と血漿との化学的組威を比較した上で,明らかに差異を認め得る物質を前房中に注入して,それ等の化学的物質が眼圧に及ぼす影響を検討せんとした。Kinseyの研究によれば,第1図に示される如く,家兎房水中のHCO3,VC,乳酸の濃度は血漿中より高い値を示し,蛋白質,Cl,phosphate,sulfate,Na,K,Ca++,Mg++,CO2,非蛋白性窒素,及びGlucoseはむしろ房水中に少ないと云われている。斯かる観点に立つて,先にHCO3を中心に一連の眼圧変動を探求する目的で,空気・酸素・炭酸ガス・炭酸ガス飽和液及び重炭酸ソ-ダ溶液を前房内に注入時の眼圧変動を検べ,その成積を第9回臨床眼科学会で報告した。今回も引続きHCO3,VC,及び乳酸の前房内注入時の眼圧変動を追求した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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