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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科11巻10号

1957年10月発行

文献概要

臨床実験

脊髄腔内空気注入が奏効したと思われる球後視束炎の1例—多発性硬化症との関係

著者: 春田長三郞1 楠研二2 田岡昭二2

所属機関: 1大阪厚生年金病院眼科 2大阪大学医学部眼科

ページ範囲:P.1256 - P.1259

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 球後視束炎の病因論に就いては,桑島の主唱以来多発性硬化症が1)2),従来最も重要視されて来たビタミンB1欠乏症に大きな揺ぎを与えているが,一方本疾病の原因的要素が多様性を有していることも現在否定し難い所である3)
 本症例は両眼性の定型的球後視束炎と診断されたもので,一側の腹壁反射を欠き,一側の膝蓋腱反射の亢進を示したものであるが,背髄腔内空気注入を契機として,急速な視力回復を見た。「多くの神経障碍症状がしばしば機能的回復を示すことは,多発性硬化症の特長であるから,殊殊治療の効果判定に頼つてその原因を推測することは,多発性硬化症を除外する根担になり得ない」(桑島)1)と云う事を充分考慮しつつ,本症例の経過並びに原因を述べて見たい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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