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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科11巻12号

1957年12月発行

臨床実験

ペニシリン・シヨツクに関する臨床的並びに実験的経験

著者: 中村重雄1

所属機関: 1東北大学眼科教室

ページ範囲:P.1447 - P.1453

文献概要

I.緒言
 ペニシリンが使用せられ始めてから10数年を経過したが,其の効果は物語的顕著さを以つて世に喧伝せせれ,且其の副作用に関しては殆ど意に介するに足らざものと信ぜられて来た。併し最近数年来外国並びに国内に於いても一部の学者の間に此の副作用の問題がとり上げられるに到り,遂には死亡例も報告せられ,ペニシリン(以下Pcと略す)使用頻度上昇と共に副作用の報告例数も益々増加して来た。Pcの副作用としては,初期に見られた製品不良に依る中毒等の場合を除いて,大別して各種皮膚粘膜炎・掻痒症等局所性に現われる病型,蕁麻疹・血清病様症状・血管神経性浮腫等の全身性に現われる病型,及びアナフイラキシー様症状を示す重篤病型の3つに分けられ,又混合型・移行型として来る事も少くない。これ迄の報告を一覧すると大多数に共通する事項があり,即ちPc使用歴があり,アレルギー性体質と認められ,Pcの少量(多くとも通常使用量以下)の作用に依つて症状が現われる事である。この事実はPcが何らかの形で抗元となりアレルギー反応が起つたものと想定される。特にシヨツク症状を呈する重篤型に死亡例が近年増加したので,各方面よりPcの抗元性に関して研究が進められている。筆者も少量のPcに依つてシヨツク症状を呈した例を経験し,又二,三動物実験も行つたので茲に症例及び結果を報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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