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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科11巻13号

1957年12月発行

文献概要

特集 トラコーマ 綜説

Tr.に於ける不完全Virusの研究

著者: 筒井純1

所属機関: 1岡山労災病院眼科

ページ範囲:P.1586 - P.1587

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 Tr.VirusがProwazek小体を形成する事は今日広く認められた事実であるが果してTr.病原体の総てがP小体となつて現われるかどうかは未だ決定されて居ない。慢性定型症にP小体の検出率が意外に低い事も何かP小体以外の形で存在する病原体を疑わしめるものである。Thygeson,Bietti等も或種の猿Rhesus monkeyにTr.を接種した場合には包括体が出現しないと云つている。最近Virusの或種のものに不完全Virusが形成される事が分つて来た。一二の例を挙げると,Turnip yellow Mosaic Virusは結品として得られるが,同形のやや小型の結晶で感染力を失つたのがある事が分り,分析の結果,感染力を有する部分は蛋白質と核酸が結合したものであり,非感染性結晶は蛋白質のみから成る事が明らかにされた。又動物Virusの例としてWyckoff等によりInfluenza Virusに於ても抗原性は元のVirusと同様に保持しているが感染力を示さない小型のVirus様粒子を形成する事が報告されている。かくして一定のVirusに感染を受けた組織から感染力を持ったvirusと感染力を失つたVirusが出て来る事が明かになつている。
 我々過去数年の研究からもTr.に於ても不完全Virusが存在するのではなかろうかと云う事は幾つかの事実によつて明らかになつて来た。即ち

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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