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特集 トラコーマ 綜説
神島に於けるトラコーマ集団治療報告
著者: 赤木五郎1 筒井純1 難波龍也1
所属機関: 1岡山大学医学部眼科教室
ページ範囲:P.1669 - P.1672
文献購入ページに移動私共は岡大眼科がトラコーマ集団治療モデル地区に選定した笠岡市神島外浦地区に対して,昭和31年11月15日より約3カ月に亘り,一般住民,幼・保育園,小学校,中学校児童生徒を対称とし,1.0%テラマイシン軟膏,0.5%アクロマイシン軟膏を使用し,地区内数カ所に臨時治療所を設置し,集団治療を実施し,其の結果を報告する次第であるが,トラコーマ治療成績と共に今何の集団治療に於ける医師,看護婦及び事務的処理に従事せる人々の状況並びに諸経費に就て併せ報告す。
尚当神島地区は今回の集団治療前に全島民(地区内の)の検診を実施し,50.0%を上廻るトラコーマ罹患率を示した。島の状況を説べると,当地区は,図I.の如く大約島の南半を占め,笠岡港より連絡船にて約40分を要する瀬戸内海の島であり,本土とは北端の瀬戸にて狭き水路により渡船にて比較的簡単に連絡する事が出来る状況にある。地区内総人口は約4000人で,地区内に神島化学工場が存在し,他地区より勤務する者も多く,集団治療の対称には若干此の通勤者を含む。要するに瀬戸内海の島とは云え,比較的交通の便よく,又他地区との出入も頻繁である様に思われる。しかしながら水利,特に飲料水に関しては島と云う条件に変りなく,水量少く水質も悪く,井戸水等も数軒或はそれ以上で共用している様に認められた。住民の大半の男子は前記化学工場に勤務し,他は半農半漁の状態なり。
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