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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科11巻2号

1957年02月発行

文献概要

特集 第10回臨床眼科学会号 一般講演

(5)春季カタルの角膜所見

著者: 小口昌美1

所属機関: 1日本医大眼科

ページ範囲:P.130 - P.133

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緒言
 春季カタルの角膜所見に就いての報告は比較的少い。併し詳細に観察すると種々の角膜合併症があり,その中には興味深き所見を見ることが出来る。Pillatは角膜春季カタルの題名の下に,視力が眼前指数に低下したものを報告した。春季カタルの角膜合併症に就いては特に南国に於いての報告が多いが,これは花粉感作説を裏書きするもので興味深い点である。例えばTobgyのエジプトに於いての報告にては屡々角膜が危険に曝されると云う。Tichoのパレスチナに於いての報告にても重篤な角膜合併症に就いて報告している。一方本邦の報告を見るに,大正7年態谷氏の表層瀰蔓性角膜炎の報告以来幾多の報告があるが,前述の如き重篤な角膜合併症に就いての報告は無い。今井良平氏は春季カタルの角膜合併症を分類して第1表の如くにした。例外的特殊の所見を除いては此表に総括されると思われる。
 表中追加の輪部角膜の増殖の項は今井良平氏の分類に私が附加したものである。輪部角膜の増殖は最も普遍的の所見であるが,同時に春季カタルの診断上有力な目標となるからである。以上の分類に含まれない角膜合併症としては円錐角膜,不正乱視,角膜線状溷濁,或は角膜ヘルペス等の報告があるが,春季カタルとの関係に就いて疑問の点がある。此中円錐角膜はGonzalez及びGen-naroの報告の外比較的多い合併症であつて,体質或は内分泌学的に将来興味深きものであると思われるが,本邦の報告には見当らない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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