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特集 第10回臨床眼科学会号 一般講演
(26)Trachomaの発病及び経過に関する臨床的研究(第1報)
著者: 窪田靖夫1
所属機関: 1千葉大学医学部眼科
ページ範囲:P.242 - P.248
文献購入ページに移動従来Trachoma (以下Tr.と略す)は無自覚のうちに発病し,徐々に進展する(所謂慢性発病)と内外共に認められて来た。然るに三井1)2)はこれに対し,実験Tr.の発病状況及び自然界に急性Tr.が甚だ多いとする事実から,Tr.が急性炎症性症状を以て発病することが多いと述べ,本邦諸学者の共鳴を呼んでいる如くである。
尤もこの間中村3)は前述の所謂急性発病説に反対し,Tr.は徐々に発病すると述べ,又青木4)は学童を対象に定期検診を行ない,臨床的には慢性発病であるとし,これ等のうちには再発,再燃のものもかなり含まれている可能性があるので,初発は急性発病と云うことも認め得ると述べた。教室の鈴木教授5)6)7)が再三に亘り,Tr.が無自覚のうちに徐々に発病することを主張して来た事は云う迄もない。一方,海外に於てはGoar8),E.Bu-rki9)等は急性症状を以て発病すると為し,又Thygeson10)は小児の場合は慢性に(chronic)発病し,成人に於ては急性に(acute)発病すると述べているが,多くは所謂急性発病説に対し否定的であつて,Mac Callan11),Schieck12), omerville-Large13),Bietti14)等はいずれも,Tr.の発病の症状は軽微で,無自覚(insidious),慢性(chronic)に発病する事が多いと主張する。
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