特集 第10回臨床眼科学会号
一般講演
(39)球後視束炎患者に於ける網膜中心血管血圧の測定成績
著者:
白柏仁郎1
所属機関:
1新潟大学医学部眼科
ページ範囲:P.296 - P.303
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球後視東炎患者に就いて網膜中心動脈血圧(N.A.D.)を測定した報告は少なからず見られる。既に古くRollet,Sargnon,Corat et Mounier-Kuhn (1927)は鼻性球後視束炎においては網膜高血圧があり,視力障碍の強いほど血圧は高く鼻内手術による視力増進に伴い低下すること,naso-okularer Reflexに基く中心動脈の緊張による血圧上昇が,手術による血管収縮の排除の結果低下して視力改善するものであると述べたのであるが,以来鼻内手術との関係に就いてはGuillerminet Chams (1931),Cattaneo,Lasagna (1938)等の記載があつて,鼻疾患時にN.A.Dは高く手術により低下することから,鼻腔は自律神経系を介する反射路によつて起る網膜,視神経内循環障碍の出発点であると云う記載が見られる。
Baillart et Tille (1934)は球後視束炎においては局所性低血圧が見られると述べているが,Karl Ascher (1938)は多発硬化症における球後視東炎の大多数例においてN.A.D.は著しく上昇を示し,球後視東炎を伴わない多発硬化においてはN.A.D.の正常のものと高いものとあったと報告している。