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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科11巻2号

1957年02月発行

文献概要

特集 第10回臨床眼科学会号 一般講演

(42)斜視と固視との関係について(斜視研究6)

著者: 中川順一1 鈴木昭治1

所属機関: 1市立札幌病院

ページ範囲:P.326 - P.331

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 斜視と固視との関係は重要な問題と考えられるが余り研究が行われていない。Duke-Elderは罹患眼に.より一側性斜視(S.uniocularis)と交代性斜視(S.alternans)に区別するといつている1)。Scobeeはmonoculardeviatorとalternatorを恰もdifferent clinicalentitiesの如く述べている2)。しかし両者の間に確然と一線を引くことは困難であるのみならず,正中位の斜位は他の眼位におけるものと必ずしも一致しない。また斜視を現在性と潜伏性に分かつが,固視の距離方向により変化するものである。
 斜視眼は罹患側を示すものと一般に考えられているようである。上記Duke-Elderもthe affected eyeなる言葉を使用している。この場合斜視側の異常を積極的に認めることを意味するものとは考えられないが,多くの人々により何等かの異常を暗々裏に予想されていることは,例えば手術を斜視眼に加えることからも推量される。若も何れの斜視型も両眼の眼筋平衡異常によつておこるものとするならば非斜視眼に手術を加えても差支ない駅で,理論的には対称的手術の方が合理的であろう。無論特殊の場合,例えば眼筋麻痺(之とても例外があるが)では斜視眼は病側(巣)診断に役立つが,共働性斜視に於いて果してpathognostic meaningを有するであろうか。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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